 | VENTURE SPOT 2010年6月号 | 一覧に戻る | |
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燻りと炙り スモークバーベキュー さくら |
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<燻製の奥深さに魅せられて> |
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神田で「さくら」を経営する株式会社さくら代表、田島氏(34)は大学時代に総合格闘技に熱中してい
たというスポーツマンだ。飲食業には高校から大学にかけてレストランやバーでアルバイトとして関
わっていたが、まさか将来自分がその道に進むとは思いもよらなかったという。大学卒業後もスポー
ツの道に進み、都内のジムでパーソナルトレーナーとなった。しかし20代後半に負ったケガをきっか
けに、将来的に長く
トレーナーを続けていくことは難しいと痛感。異なる道を考えたときに、これまで自分が好きだった
飲食業が思い浮かんだという。「トレーナー時代もキャンプが好きで、アウトドアで燻製を作ってい
たりしました。今考えると、この店の始まりはそこにあったのかもしれませんね」と笑う。ワイワイ
賑やかな店を経営したいと、さっそく神田の焼鳥店で修行を開始。すぐにも独立したいと働きながら
物件を探したが、なかなか見つからずに二年が経った。それならば一度別の業態で修行をしたらどう
か、と親方が紹介してくれたのが、たまたま燻製料理専門店だったという。そこで様々な食材を燻製
にできることに衝撃を受けた田島氏。もともと燻製が好きだったこともあり、その魅力にすっかりの
めりこんでしまった。
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<業態としても魅力的な燻製専門店> |
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燻製店での一年間の修行を経て、神田鍛冶町で念願の店をオープン。裏通りにありながら、こだわり
の自家製燻製と、古民家風の落ち着いた雰囲気で根強いファンを獲得している。料理のオペレーショ
ンは、燻製専門店ならではでユニークなものだ。まず燻製前に、食材の水分抜きに長期間をかける。
例えばベーコンなら塩漬けに一週間、生ハムとなると二ヶ月かかるという。こうしてきっちりと水分
を抜いたうえで、店内の燻製機でスモーク。仕込みは大変であるが、いったんできあがると水分が抜
けているため、真空機にかけて冷凍すると、風味が変わらずその後長期間新鮮な状態を楽しめるとい
う。そのため、一年を通じて都度都度の食材をまとめて燻製し、それを毎日の営業で少しずつ提供す
るというオペレーションを行っている。仕込みに時間はかかるが、保存に向いているため、他業態よ
り繁忙期と閑散期の仕込み量の差が小さい。また、ビジネス街で土日休みとしても、仕込みに支障を
来たさず、食材ロス率も抑えられるというメリットがある。燻製料理が魅力的なことはもちろん、運
営の観点で見ても優れた業態なのだ。
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<燻製の魅力を極める> |
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様々な食材の燻製に出会うことができるのも、「さくら」の魅力だ。例えば一般的なメニューのポテ
トサラダも、「さくら」では燻製の卵と沢庵を使っているため、ここでしか食べられない味になって
いる。オリーブもオイル漬けのまま燻製にすることで、独自の風味を楽しむことができる。醤油や塩
も燻製にすることで、角が取れてまろやかな味わいになるという。こうした様々な創意工夫を凝ら
し、新しいメニューを生み出しているのだ。田島氏は、今後もそうしたメニューに挑戦するととも
に、顧客の好みに合わせたオリジナルのコースも提供していきたい、と夢を語ってくれた。これから
も、燻製という長い歴史をもった料理の持つ魅力を私達に教えてくれることだろう。
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会社名 : 株式会社さくら
店舗名 : 燻りと炙り スモークバーベキュー さくら
所在地 : 東京都千代田区鍛冶町1-10-16
T E L : 03-5297-5148
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