 | VENTURE SPOT 2009年5月号 | 一覧に戻る | |
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SPAZIO*CAFFE |
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有限会社アールアンドエー・カンパニー | 代表取締役:深澤昌毅 氏 | |
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<コンビニ経営で磨いた数字感覚> |
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今回ご紹介するのは、湯島でカジュアルイタリアン「SPAZIO*CAFFE」を経営する深澤氏。両親が
代表をつとめるコンビニエンスストア経営会社の取締役として、新たに手がけた飲食店経営に精力を
注いでいる。
本業である小売業ではなく飲食業を手がけた理由について訪ねると、「飲食業では経営者の裁量次
第でさまざまなことができることが魅力的で、以前から手がけたいと考えていたんです。」と話して
くれた。大学卒業後は、アルバイトでイタリア料理店の厨房や和食店のホールスタッフとして働き飲
食のノウハウを学びながら、両親の会社でコンビニエンスストアの経営にあたった。この時身に付け
た数字感覚が、現在の経営にも非常に役に立っているという。コンビニエンスストア業界では運営会
社が違っていても1店舗あたりの売上は店舗によってそれほど変わらないが、そこからどれだ利益を
上げるかは数値管理の巧拙によって大きく変わってくる。それだけ細かな管理や経営が求められるの
だ。深澤氏はこの時期に、天候に合わせたきめ細やかな仕入れや、経営者としてのスタッフのモチベ
ーション管理、数値管理や決算書の読み方まで、緻密な経営感覚を身に付けていった。
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<客からの要望で変化し続けるお店> |
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2004年の4月にはついに、地元湯島で待望のレストランをオープン。競合店や地域特性をリサーチ
した結果、業態はカジュアルイタリアンに決定。オープンからまる5年がたった今も、オープンから
周辺のビジネスパーソンに人気のランチタイム、天然素材を使った特製プリンが看板デザートのカフ
ェタイム、さらに記念日やパーティーにも人気のディナータイムと、一日中多くのゲストで賑わって
いる。
その秘訣は店舗オープン後から試行錯誤をくり返し、顧客ニーズに合わせた変化を続けているこ
と。最大の変化は、同窓会やウェディングなどのパーティー需要を取り込むようになったことだ。当
初は想定をしていなかったが、結婚式場が多い上野、また学校が多い湯島・御茶ノ水に近いという立
地上、大人数でのパーティーができないかという問い合わせをもらうことが多かったのだという。幹
事からのリクエストにひとつひとつ答えてきた結果、現在では年間200組以上の貸切パーティーを受
けるまでとなった。例えばウェディングでは、下見に来たカップルと打合せをする中で、どのポイン
トを最も重視しているかを注意深くヒアリング。さまざまなリクエストにも丁寧に答えることで、一
度下見に来てもらえれば、ほぼ会場として決定してもらえるようになったというから驚きだ。
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<企画力で儲ける経営へ> |
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順調に成長しているかのように見える経営だが、深澤氏は「飲食業は他と比べても廃業率がとても
高い業界。新しいことをしていかないと生き残れない」と身を引き締める。そのためにもっとも注意
しているのが、"値下げをせずに、企画で付加価値をつける"ということ。500円の値下げをするな
ら、原価500円でできる2000円分のサービスを企画し提供する。それを顧客満足に結びつけていこう
という考えだ。こうした発想から、貸切パーティーでのリムジン手配などのサービスを生み出してい
る。
こうした企画力、発想の元になっているのが、異業種の仲間とのつながりだ。8年前からは、多忙
な飲食店経営のかたわら青年会議所に所属。そこで様々な業種の社長たちから受ける情報や刺激、普
段は会うこともできないような大先輩との会話から得られるものは非常に大きいという。
情報収集ばかりでなく、勉強も怠らない。2008年度は1年間新規事業企画のビジネススクールに通
い、さらに2009年はMBAの取得も目指し、そのための時間の捻出方法を考えているというから驚き
だ。
今後の「SPAZIO*CAFFE」については、通販やケータリング、女性向のサンプリングを店内に置く
ことによる飲食以外の来店動機付けや、店舗の広告スペースとしての店舗活用など、様々なアイディ
アをあたためる。
100年に一度の不況と呼ばれる状況ながら、厳しい状況をまわりのせいとは考えたくないと話す深
澤氏。"熱い心と冷静な頭"を兼ね備えたそのチャレンジを、これからも注目したい。
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会社名 : 有限会社アールアンドエー・カンパニー
店舗名 : SPAZIO*CAFFE
所在地 : 東京都文京区湯島3-17-13 阿部ビル1F
T E L : 03-3834-1163
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