 | VENTURE SPOT 2009年4月号 | 一覧に戻る | |
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銀座酒場 |
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株式会社アルコ・スタイル | 代表取締役:堀 達也 氏 | |
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<飲食起業のために、あえて営業の道へ> |
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今回ご紹介するのは、現在銀座・新橋で「銀座酒場」というダイニングバーを経営する株式会社アル
コ・スタイルの堀社長。学生時代から、将来は飲食業で企業したいという独立心旺盛な若者だった
が、そのために選んだ就職先は飲食店ではなく、大手情報サービス業のリクルート社だった。これは
人材排出機関として有名な同社が、人材や情報サービス業界以外に飲食業でも多くの起業家を生み出
していることを知り、熟考した末の結論だったという。入社後は、営業担当として主に住宅関連の媒
体を担当。「30歳までの独立」という目標が定まっていた堀氏にとっては、サラリーマン時代の仕事
は大変でありながらも、非常に実り多いものだったという。この時代に社会人としてのマナーから、
人との付き合い方、人脈、経営的な考え方まで、その後の財産となる様々なものを身に付けることが
できたのだ。さらに、仕事後は毎日3,4軒の飲食店を飲み歩き、自分自身がサラリーマンとしてどん
な飲食店があったら嬉しいのかということを、客からの視点で研究していった。
こうして着実に自分のやりたいお店でかつ消費者のニーズに合う飲食店のイメージをふくらませた堀
氏は、29歳の時、「30歳までに独立する」という計画を有言実行する形で独立を果たした。
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<会社員が"週5日使える店"をオープン> |
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独立して8年前に銀座5丁目にオープンさせたのは、「1週間に5回来ても、落ち着く店。1週間に5回来
ても、飽きない店。リーズナブルで1週間に5回来ることのできる店」というコンセプトのダイニング
バー。会社員が使いたくなる店という理念を突き詰めていった結果、たどり着いた答えであり、その
ための工夫は、店のあちこちにちりばめられた。店内は、ダークブラウンの木材を多用したシックな
印象。ダイニングとしてはやや暗めだが、バーとしては明るめの照明で、1軒目としても2軒目として
も利用しやすい雰囲気を演出。フードやドリンクも、フレンチを初めとした洋食を得意とするシェフ
を置く一方、接客レベルの高いバーテンダーがカウンターに控え、料理でもアルコールでも銀座を使
い慣れたサラリーマンを喜ばせるレベルを達成している。しかも値段はリーズナブル。ふらりと来店
しても居心地よく楽しめ、こだわりを知る人にも喜んでもらえる工夫も仕込まれていた。椅子はIDEE
社製AMIシリーズにこだわり、ゆったりとした座り心地。生ビールのグラスには、オーストリアの高
級グラスメーカー、リーデル社の「リーデル・オヴァチュア ビール」を使用。350ミリリットルのビ
ールを注ぐと、ちょうどビールと泡の比率が7対3という、ビールを美味しく飲むための黄金率になる
ように設計されている。この他にもリーデル社製のワイングラスやバカラ社製グラスを、飲み物ごと
にセレクト。氷もかちわり氷を使い、焼酎には大きめ、ウイスキーには丸い形と使い分けている。
そうしたコンセプトメイキングがばっちりはまり、ビルの3階という決して恵まれているわけではな
い立地ながら連日仕事帰りの男女で賑わった。
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<お酒をおいしくリーズナブルに楽しんでもらう> |
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1年前には、新橋駅前に「MARUICHI」をオープン。こちらはカウンター9席、テーブル席3卓という小
型店だ。照明は銀座のお店と同様にバーとしてはやや明るめに設定し、和食の料理人が手作り料理を
提供。週に5日、1軒目にも2軒目にも使えるというコンセプトも変わらないものの、1階という立地か
ら気軽に立ち寄れることができる。また坪数も銀座のお店に比べややコンパクトにすることで、お客
様とお店スタッフとの距離感がより近い店づくりを目指した。それによってお客様の求めているニー
ズをよりスピーディに吸収し、お酒や食事のラインナップに反映させようとしているという。
現在「MARUICHI」の店長を任されている人物も、実は4年間リクルート社で営業を経験している。
立ち上げから働いてきた優秀な人物で、彼を手放すのは会社にとって大変痛手だったが、一度は企業
で働くことが本人の将来にとって必ずプラスになる、という堀氏の強い気持ちから勧めた道だとい
う。
会社員が喜ぶ業態を徹底的に研究し、「費用対効果NO.1のお店を目指したい」と語る堀氏。これから
の活躍にも大いに期待したい。
(2010/05/07 加筆修正)
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会社名 : 株式会社アルコ・スタイル
店舗名 : 銀座酒場
所在地 : 東京都港区新橋1−11−1−1F
T E L : 03-5537-6855
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