 | VENTURE SPOT 2010年3月号 | 一覧に戻る | |
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千山苑 |
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<厳しい時代だからこそ、王道の焼肉で顧客満足を> |
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東京の下町、葛西駅前に、「驚くほど上質な肉が食べられる」と評判を集める焼肉店「千山苑」が
ある。この店を経営する株式会社プログレスの中川代表に、今回話をうかがった。店を始めたのは、
中川氏の両親。ハングリー精神の強い両親・祖父母だったそうで、幼い頃から「自分のお金は自分で
稼ぐべし」と厳しくしつけられたという。そのため幼い頃からアルバイトをし、中学卒業の頃には、
フランス留学目指して自費で料理学校の入学金を用意していたほどだった。最終的には周囲の説得も
あり、普通高校に進学。卒業後に「千山苑」で働くこととなった。
家族が経営する店に入ったとはいえ、すでに両親は別事業を手がけており、店を任されていたのは
別の親方。大変厳しくも面倒見のよい親方に、技術的なことはもちろん、仕事に対する姿勢まで様々
なことを学ばせてもらったという。やがて親方の独立が決まり、23歳にして店舗のトップに立つ。引
継ぎ期間もほとんどない中、20歳以上年の離れた職人に指示を出し、20人近いスタッフ全員の仕事を
把握しながら、必死に店を運営していった。
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<上質の肉を追求する情熱> |
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「今では焼肉店も様々なメニューを扱うところが増えましたが、やはり肉本来の味がおいしくなけれ
ば焼肉店として長くやっていくことはできません」と話す中川氏。店を継いで以来、肉の仕入に並々
ならぬ情熱を注いできた。当時はブランド牛といえば、知られている銘柄はほとんど松阪牛しかなか
った時代。しかし他の地域にも高品質な肉があるはずだと考えた中川氏は、少ない情報を頼りに休日
を使っては日本各地を回って歩いた。牧場では牛が育つ自然環境からエサ、ブラッシングの仕方まで
自分の目で確かめ、地元の高級料理店で出される肉を味わい、精肉店では普段食べられている肉の値
段まで確認した。こうして徐々に上質な肉の仕入を増やしていくとともに、学んだ知識でより細やか
な仕入れも行っていった。例えば同じ牧場の牛でも、季節によって状態は変わる。夏場に暑さが厳し
い地域の牛は皮下脂肪を蓄え味が変わるので、夏には群馬・栃木など冷涼な高地の牛を使うようにし
ているのだ。こうした努力の結果、「千山苑に行けば、上カルビのような肉が並のカルビとして出て
くる」と評判になり、地元で確固たる地位を築いた。
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<変化し続けられる努力を> |
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こうして先代から受け継いだ店舗をさらに深化させてきた中川氏。今後についてうかがうと、「厳
しい時代だからこそ、まずはいかに上質の肉を、リーズナブルにお客様に提供していくかを追求して
いきたい」と話してくれた。そのために常に勉強と、改善のための努力を欠かさない。さらにお客様
の要望にあわせ、どこまで変化を続けられるかが勝負と話す。現在もより家族で利用しやすい店にな
るようなサービスパッケージの研究や、立地戦略の研究にも余念がない。王道の焼肉店として深化し
続ける姿は、これからの時代にひとつの指標となるだろう。
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会社名 : 株式会社プログレス
店舗名 : 千山苑
所在地 : 東京都江戸川区中葛西3-37-7
T E L : 03-3687-8835
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