六本木で今年15周年を迎えるダイニングバー、「DoRa」の井上オーナーに、話を伺った。 　大学時代はスキー同好会にどっぷりだったという井上氏。この時の恩師が、白馬でロッジを経営す る傍ら、横浜元町・鎌倉にレストランも所有しているという実業家だった。そんな恩師に憧れていた 井上氏は、「いつかは自分もこの人のように、独立して事業をしたい」と思っていたという。 　やがてスキー三昧の日々を卒業し、84年に新卒でアメリカン・エキスプレス社に就職。ゴルフ場向 けにプロ選手と契約してプロモーションを企画・実行するなど、加盟店拡大に尽力。充実した毎日を 送っていたが、学生時代に思い描いた独立への夢は変わらず、95年の希望退職募集をきっかけに、飲 食の道へと踏み出した。

　飲食業を選んだ理由について、井上氏は「サラリーマン時代も毎日飲み歩いていたくらい、元々酒 が好きだったから」だと笑う。まずは大学時代の恩師に相談し、恩師が経営する横浜元町の店舗で修 業。96年4月に念願のダイニングバー「DoRa」をオープンした。 　店舗のコンセプトは、一人で行っても居心地良く感じられる店。そして、人脈の広い井上氏の友人 たちが集える場所でもあること。 　オープン当初は、高校・大学・社会人時代の友人が知り合いを連れて訪れ、その紹介によって顧客 が広がっていった。紹介のポイントは、来てくれた人を名前で呼ぶこと。そうすることで、知り合い を連れて来た既存客は“鼻が高い”と満足し、また新たに人を連れて来てくれるようになる。井上氏 は96年のオープン当初から顧客情報を収集し、パソコンで管理することでそのサービスを実現してき た。

　2002年には、同じビルの2階にビリヤード・ダーツなどの施設を備えた2号店をオープン。その後六 本木ヒルズ・ミッドタウンのオープンなどによりパーティー需要が増加したことから、2007年からは パーティー貸切専門スペース「DoRa Deux」として運営している。 　15周年となる今年は、経済環境は引き続き厳しいなか、「原点回帰」がテーマ。携帯サイトをオー プンして携帯アドレスを収集し、既存の3000人以上の顧客データも整理する予定だ。そうした情報を もとに、顧客属性ごとにメールを配信するなど、より顧客と密なコミュニケーションを行い、DoRaの 良さを提案していきたいと話してくれた。 　環境に合わせてチャンスを逃さず、着実に歩みを進める井上氏。15年目の活躍も楽しみだ。

会社名 ： 有限会社ディー・ドリーム
店舗名 ： DoRa（ドラ）
所在地 ： 東京都港区六本木7-17-16
Ｔ Ｅ Ｌ　： 03-3403-8666
Ｈ　　Ｐ ： http://www.dora.jp/