 | VENTURE SPOT 2010年11月号 | 一覧に戻る | |
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川波(いかだ) |
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<17年間の修行時代を経て> |
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甘酒横丁など風情ある古い町並みを残しつつ、ビジネス街としての顔も持つ日本橋・人形町。今月は
この地域の人気店「川波(いかだ)」を経営する川口智司氏(41)に話を伺った。
川口氏は世田谷出身。専門学校を卒業後、九州料理専門店に17年間勤めた。チェーン店であったが、
調理スタッフとして自ら築地に足を運び仕入れを担当。この時の経験が、現在の天然魚を看板とする
店づくりの基礎となった。アルバイトもしながら資金をため、これまで経験のあるビジネスマン向け
の業態にしようと、神田から浜松町までのエリアで半年間かけて物件探しをおこない、最終的にこの
地で独立したのが36歳の時だった。
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<ビジネス客の心を掴む> |
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川波(いかだ)は、人形町駅徒歩1分のビル地下1階に位置する。養殖魚は使わず、天然魚のみを使う
和食居酒屋だ。地下店舗であるため、最初の1年は立ち上がりに苦労したというが、2年目に入った12
月を境に一気に客数が増加。1年かけて積み上げてきた常連客が、安定して集客できるようになっ
た。勤め人時代から培った築地の仕入ルートから仕入れた天然魚をリーズナブルな価格で提供してい
ることに加え、出来合いものを使わず手作りする料理が、周辺のビジネスマンに支持されているの
だ。それを可能にしているのが、社員・アルバイトの質の高さ。川口氏ともう一人の社員は、どちら
も調理・ホールの担当が可能。アルバイトは1名のみで42席の店舗を切り盛りする。「自分しかいな
いという環境に鍛えられて、アルバイトでうちに来た子は自然と力がつくんです」と笑う。
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<これからの川波> |
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昨年のリーマンショック以降の不況は、周辺のビジネスマンにも大きく影響を及ぼした。しかし川波
では、様々な工夫のおかげでその影響を最低限に抑えている。そのあらわれの一つが、ランチメニュ
ーだ。仕入力を生かし、天然魚を使ったリーズナブルな丼メニューを限定数で用意して、ランチのキ
ャッチ商品にするとともにピーク時間を分散。お酒の後の締めにと開発した鰹スープを使った醤油豚
骨ラーメンは、客の要望でランチでも提供されるようになり固定ファンがついている。幅広いライン
ナップと料理の質で、客を飽きさせず集客につなげているのだ。そしてそれを可能にしているのが、
仕入力とスタッフの質。今後はこうした工夫を重ねつつ、店舗展開も視野に入れている。困難な環境
にあっても、工夫と努力を忘れない川口氏の挑戦に、今後も注目していきたい。
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会社名 : 株式会社川波(かわなみ)
店舗名 : 川波(いかだ)
所在地 : 東京都中央区日本橋人形町1-3-6共同ビル地下1階
T E L : 03-5695-1173
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