 | VENTURE SPOT 2011年10月号 | 一覧に戻る | |
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一滴八銭屋 新宿本店 |
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<世界一周旅行で知った「心の豊かさ」> |
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大藪氏は1968年、愛媛県四国中央市に生まれる。玄関を出ると、前は海で、振り返ると山。そ
して、毎朝、船が通る音で目覚めたというほど、自然に囲まれた町が、生まれ故郷だ。
高校卒業と同時に東京に出ると、大学生活で転機を迎える。入学早々、「世界旅行研究会」という
サークルに入り、このサークルで出会った先輩に刺激され、世界を巡る旅に出ることを思い立つ。ア
ルバイトで必死になって貯めたお金と、片道チケットだけを持って、バックパッカーとして世界一周
旅行を経験する。一人旅で危険と隣り合わせの日々を送りながらも、多くの人と交流を持つ機会を得
た。人の温かさを感じながら、人種や貧富の差ではなく、人としての「心の豊かさの違い」「生き方
の違い」について真剣に考えることとなる。
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<弟の一言に奮い立ち、30歳で独立> |
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1年の海外放浪の後、いずれ独立を考えていた大藪氏は、建築設計を学ぶべく内装の大手企業に入
社する。仕事が楽しくなり独立そのものが遠ざかりかけていたが、30歳を迎えた大藪氏に、年の離
れた弟が「俺は就職を蹴る。一緒にやろうぜ」と迫った。弟が大学で東京に出てきてから何度とな
く、一緒に独立しようと語っていたからだった。これが大薮氏の決意を促し、義理の弟である油野氏
(現専務取締役)を交えた3人の共同出資で飲食業を立ち上げる。立ち上げたのは実家も営んでいた
「うどん屋」だった。新宿に一号店を構えたのが1999年、借りた店舗が競売に掛けられていたり
するなど、苦労を重ねながらも、徐々に売上を伸ばした。叩かれてもめげないコシの強さが、大薮氏
の武器である。オープン当初は、『うどん専門店』と書いていても、蕎麦はないか、と尋ねられたも
のだったが、「東京に本格的な讃岐うどん店が出来た」とネットで評判になり、「いままで東京に讃
岐うどん店はほとんどなかったし、これだけコシが強いうどんもなかった」という書き込みで人気に
火がついた。
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<「UDON」ブーム 新たな挑戦の為に> |
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やがて讃岐うどんのブームが訪れ、2006年には映画「UDON」が公開された。月商は拡大
し、創作うどん居酒屋「一滴八銭屋」新宿本店に加え、「一滴八銭屋」恵比寿店(2011年7月よ
り「淡路島と喰らえ」に業態転換)、おまかせ料理「滴屋」(田町)、串天ぷら「段々屋」、神楽坂
に「湯麺餃子ねじ巻」計5店舗を経営するに至る。誰もやらないことをやるというのが大薮氏の一つ
の羅針盤。関東に、「うどん文化」を根付かせたいま、次は何に取り組むのか。20年前、海外で見
た風景と、多くの人たちとの出会いが、まだない何かを見つけるきっかけになるかもしれない。今後
の大藪氏に注目したい。
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会社名 : 有限会社一滴八銭屋
店舗名 : 一滴八銭屋 新宿本店
所在地 : 東京都新宿区西新宿1−15−9 石井ビル2F・3F
T E L : 03-3342-8889 H P : http://www.itteki.com/
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