 | VENTURE SPOT 2010年10月号 | 一覧に戻る | |
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ばがぼんど |
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有限会社TO商事 | 代表取締役社長:筬井(おさい)敬久 氏 | |
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<魚屋から料理人、そして大企業へ> |
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池袋西口五差路近く、大通りから一歩入ったビルの5階に、「洋風居酒屋ばがぼんど」という店があ
る。恵まれない立地ながら、訪れる人の絶えないこの店について知りたいと、代表の筬井(おさい)
氏(53)に話を伺った。
筬井氏は池袋で育った地元っ子。学業を終えた後、両親の経営する魚屋を手伝っていたが、次第に食
材の先にある料理まで提供したいと思うようになり、20代半ばにして料理の道へ。和洋中の料理ジャ
ンルにとらわれず、多方面での技術を磨いた。やがて30代半には、大手外食企業が設立した新業態子
会社の創設メンバーとして社員指導や教育にあたった。会社が大きくなるにつれ人事から総務業務ま
で幅広く担当を任されるようになり、現場に立つことはできなくなったが、現場をサポートする「企
業としての仕事」を自分が楽しめることが分かった。こうした経験が独立して会社を経営する際の背
景となった。
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<バランスのとれた店作り> |
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充実した毎日を送っていた筬井氏だが、30代後半に妻を病気で亡くすという不幸に見舞われた。後に
残されたのは、まだ小さい二人の子供。そこで子供たちと過ごす時間を取るために、これもひとつの
転機ととらえ、“自営業”に転ずることを決意した。
こうして39歳の時に独立して開いたのが、「ばがぼんど」だ。店は毎日ジャズの生演奏が行われ、大
人の雰囲気を漂わせるが、ジャズ好きでないと入りにくいような敷居の高さはない。また「居酒屋」
の名のとおり、フードメニューも充実。こうした店作りの理由は、「店は全体的なバランスが一番大
切」というものだ。料理・雰囲気・サービスの微妙なバランスが大切だということだ。店舗をジャズ
の店にしたのも、「池袋で大人が集える場所を作りたい」という想いゆえで、もともとその知識や人
脈があったわけではない。しかし、だからこそ初心者にも楽しめるバランスのよい店にできたのだと
話してくれた。
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<さらに多くの人に広めたい> |
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店名のばがぼんど(仏語で自由な人、束縛されない人)があらわすように、この店は職場や学校とは
また別の空間として、自由な立場になって寛げる場所でありたいと話してくれた筬井氏。今後は、
「より多くのお客様に、ばがぼんどで自由に過ごす時間を経験してほしい」と感じている。そのため
の店舗の拡張や、移転も念頭に置いている。「まだまだ若いし、やれることはたくさんある。店は発
展途上です」と話してくれた筬井氏の活躍に、今後も注目したい。
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会社名 : 有限会社TO商事
店舗名 : ばがぼんど
所在地 : 東京都豊島区要町3-13-13
T E L : 03-3983-9109 H P : http://www.vagabond.jp/
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