去る３月１２日、千葉県流山市に開業した話題の商業施設「おおたかの森Ｓ・Ｃ」に、これまでとは ひと味違った不思議なハンバーガー店が出現した。 その名は「パクッチバーガー」。既存のハンバーガーチェーンとは異なり、「パクッチバーガー」は 美味しさを追求しながらボリュームもたっぷりの、いわゆる「グルメバーガー」をファストフード並 みのスピードで提供するというコンセプトの飲食店だ。流山店は昨年１２月にオープンした東京渋谷 の１号店に続く２店舗目の出店であり、わずか３ヶ月足らずのあいだに２店舗の出店という素早い展 開もまた驚きである。 「パクッチバーガー」を経営するココロプロジェクトの代表、内田氏はまだ３５歳だが、このほかに もラーメンＦＣ店４店舗を経営するオーナー社長だ。今回のパクッチバーガーは、内田氏のオリジナ ルブランドを展開する新しいプロジェクトのスタートである。このプロジェクトのために作られたイ ンターネット上のＷｅｂサイトには、店舗の店頭にも大きく掲げられている、愛嬌あるユニークなキ ャラクター「ピロ」とその仲間たちが、「パクッチ島」という楽園を発見した、というコンセプトで アニメーションや音楽などが掲載されており、見ているだけでも楽しい。こうしたことからも判るよ うに、パクッチバーガーはただの飲食店ではない。それは、リアルの店舗だけではなく、Ｗｅｂサイ トなどさまざまなメディアを横断して展開される「実験的なプロジェクト」として位置づけられた新 しいビジネスモデルなのだ。

内田氏が初めて起業を意識したのは２３歳の時だったという。北関東の地元で、高卒ながら大手電機 メーカーに就職した内田氏だったが、大規模な組織での会社勤めは肌に合わなかった。また、社内で 大卒社員との軋轢もあり、それならばいっそ、「働きながら自分で大学へ行こう！」と、単身東京に 向かうことを決意する。東京の地図を広げ、目をつぶって指さした場所に住むことを決め、小さなア パートを借りて、誰の世話にもならずアルバイトをしながら通信教育で大学に入学した。 上京した当初は苦しかった生活も持ち前のバイタリティで克服し、次第に暮らしは安定し、将来のこ とを考える余裕も生まれてきた。そして東京での生活も落ち着いてきた頃、ふとしたキッカケから、 毎日の生活にもっとメリハリを付けたいと考えた内田氏は、「外国車に乗る」「お洒落な高層マンシ ョンに住む」というふたつの目標を立て、その目標に向かって頑張ってみることにした。しかし、思 いついた時点ではかなりハードルが高いつもりだったその目標は、思いの外、初めてみるとわずか１ 年ほどで達成できてしまったのである。 「こうやって、具体的な目標を決めることが大切なのかも知れない」 目標に向かって計画を立てることで、大きな壁を乗り越えることが可能になるのだと、その時内田氏 は気づいたのだ。 「それなら次は、３０歳までに現金で１０００万円貯めて起業にチャレンジしよう！」 そんな計画を立てたのが、ちょうど２３歳の時だったのである。

「起業する」という目標を掲げはしたが、実は内田氏には具体的に何をするという計画があったわけ ではなかった。 「起業のことなどは良く判らないまま、１０００万円あれば、とりあえず何とかなるんじゃないか と…」と、当時を思い出して内田氏は笑う。 結局、２３歳の時の目標は、２７歳ごろから３年間ほど猛スパートをかけ、３０歳になる直前に達成 することができた。しかし、目標を達成するためセールスドライバーや水商売などで稼いで来た内田 氏は、これまで起業のために必要な知識をキチンと学ぶ余裕がなかった。そこで、貯めた１０００万 円を手にして、まず有名なコンサルタントが主宰するビジネススクールの門を叩く。言われるままに すべての講座を受講し、半年足らずのあいだ、ビジネスと起業について猛勉強に励んだのである。 その後、勉強のために海外を訪れたことと併せて、貯えの１割ほどを自分への投資とした後、内田氏 は最初の事業をスタートさせる。ＦＣ加盟で最初のラーメン店を出店。３０歳の誕生日からおよそ半 年ほどが過ぎた頃であった。まずは、「今自分ができること、確実に成功できるビジネスからスター トしよう」と、考えた末のラーメン店出店だったが、２年半で４店舗を出店するほどの成功を収め る。 そしていよいよ昨年、内田氏は自らのコンセプトで新しい事業を立ち上げることを決意したのであ る。 内田氏の独自ブランド「パクッチ」が今後どのような展開を見せるのか、今まさにプロジェクトはス タートしたばかりなのだ。

会社名 ： 株式会社ココロプロジェクト
店舗名 ： パクッチ渋谷道玄坂店（1号店）
所在地 ： 東京都渋谷区道玄坂1-11-1　第2大番ビル1F
Ｔ Ｅ Ｌ　： 03-6276-2955
Ｈ　　Ｐ ： http://www.pakutch.jp/