恕(じょ)

自分が思うのと同じように相手を思いやること。孔子の信条は、「恕(じょ)」という言葉であったらしい。信条というのは、つまり努力目標です。ある時、子貢(しこう)という弟子から「この一言なら生涯守るべき信条とするに足る-そういう言葉はありましょうか?」とたずねられた時、「それ恕か。己(おのれ)の欲せざる所は人に施すなかれ」と答えました。人からされたくないことは、自分のほうからも人にしない。それが「恕」だというのです。他人の心をもって自分の心とすること、と言ってもよいかもしれません.更に一歩すすめ、自分がして欲しいことを他の人にしてあげれれば素晴らしいことです。さて、お客様へのサービスは、物をあげることや値段をおまけすることだけではありません。一番のサービスは、ホスピタリティーをもって接することです。ホスピタリティーは、「温かくもてなす、親切にもてなすこと」ですが、やたらとお勧めするというよりは、心を配ったり居心地がいいように気を使ったりと、相手に関心をもって世話したり、心配りしたり、他人の心をもって自分の心とする「恕」の心に通じます。重そうな荷物を持つお客様に「どうぞ、こちらにおいて下さい。」と勧めたり、「取り皿をお持ちしましょうか」と気を使うこと。こうして尽くしてもすぐに結果が出るわけではありませんが、お客様はそうした心遣いに敏感です。これは、仕事の中でというより、毎日の生活の中でやっていないと、とっさにできるものではありません。
「恕」の心、ホスピタリティーは、口先だけでは育ちません。他人のため、日頃からちょっと手をのばす、足を運ぶ、ひと手間かけるなど、体を使って育ててゆきたい大切なことです。

『論語(ろんご)』

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