転禍而為福(わざわいをてんじてふくとなす)

  情況が悪化し、局面の打開をはかる時などに使われます。『戦国策』によれば、『知者の事を挙(あ)ぐるや、禍を転じて福となし、敗に因(よ)りて功をなす』とあります。知者というのは仕事をするにあたって、禍を転じて福とし、失敗を成功の母とするものだと、というのです。人生には不幸(禍)や失敗はつきもので、どんなに用心したところで、一度や二度、不幸や失敗に見舞われない人生などありえません。問題はそれにどう対処するかです。『戦国策』によれば、一度や二度の失敗でへこたれてしまうのは、どうやら愚者の部類に入るらしいのです。失敗をバネにし、そこから人生の新しい展開を開いていくような、そういう逞しい生き方をしたいものです。
 企業にしても不況が襲い、経営が困難に陥ってくると、好況時にはなかなか気付かなかったり、あるいは気になっていても、つい手つかずのままにしていた課題がはっきりと見えてきて、改善、改革の必要性が痛感されるようになります。また、社員にも危機感が生まれ、好況時にはなかなか取り組まなかったことにも、真剣に対処するようになるし、社員一丸となって改革を進めやすくなります。人材も仕事が上手くいかない困難な時に、かえって成長し、育つものです。不況という厳しい環境の中でのほうが、長年抱えてきた懸案事項にメスを入れたり、経営体質を改善、強化したり、社員教育がしやすいものです。そういう意味で、不況時こそ、これまでの経営を見直して、新たなる企業に生まれ変わるための絶好のチャンスなのです。

『戦国策(せんごくさく)』中国 前漢

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