道在爾而求諸遠(みちはちかきにあり、しかるにこれをとおきにもとむ)

  「道」とは、人間のふみ行なうべき道です。それは何も高遠なところにあるのではなく、日常の身近なところにあるという意味です。では、「爾(ちか)きに在(あ)りとは、どういうことでしょうか?『孟子』はこう語っています。「人々その親(しん)を親(しん)とし、その長を長とせば、天下平らかなり。」親を愛し、目上の者を敬いすれば、それで天下は太平になるというのです。少々、楽観的に過ぎますが、この二つは社会生活の基本で、これだけでも世の中はずいぶんと変わってくるに違いありません。
 ところで、サービスマンが会話を展開する際に、基本中の基本として徹底したいのは、お客様から何か言われたら、「はいという一言を必ず発することです。「はい」という言葉が明瞭に伝わるだけで、コミニュケーションは円滑なスタートを切ります。言わば、「はい」は、サービスマンがお客様に誠意を持ち、心から感謝の気持ちを尽くそうとする姿勢などを、一瞬のうちに表現する奥行きの深い一言なのです。例えば、あるテーブルのお客様の接客をしている時、他のテーブルのお客様が手を上げられ、「ちょっとー」と声をかけられた場合、言葉無しで頭だけでうなずくのは大きな誤りです。「はい、すぐ伺いますので、少々お待ち下さい。」と一声かけるだけで、お客様は「分かった。」と納得して頂けます。こんな些細(ささい)なことがお客様を不快にすることを避けるのです。このように、接客術も高遠なところに求めるのではなく、身近な些細なことを徹底して積み重ねることがリピーターの増加につながってゆくのです。

『孟子』中国 四書の一つ

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