言行一致、すなわち言うことと行なうことを一致させるのは、極めて難しいものです。なぜなら、ともすれば、言うことが先走って行動がそれに伴わないからです。例えば、母親が子供に向かって、ああしなさい、こうしなさいと口うるさく言う。言うのは良いが、『じゃあ、お母さんはどうなの?』と切り返された場合、一言もないようでは、まったく説得力がありません。人間は誰でも言行一致であることが望ましく、そのためには、『言は行を顧み、行は言を顧む』が必要なのだということです。『言は行を顧む』とは、何か発言をする時には、行動がそれに伴っているかを考える。そうすれば、発言におのずとブレーキがかかるのです。『行は言を顧む』とは何か行動を起こす時は、自分の発言を思い出す。そうすれば、発言に比べて、まだまだ行動が足りないのではないかと反省し、いっそう、励むようになるということです。少し、意味合いが違いますが、接客業ではお客様との対応以前に、一緒に働くスタッフとのコミニュケーションがスムーズにいくことこそ、接客の基本となります。指示する時は、アバウトな言い方はしないこと。例えば、『ここをキレイにしておいてね。』はバツ。『ショートケースを拭いておいてね。』と具体的に言うこと。キレイと一口に言っても、解決に差が有り、ある人は片付ける、別の人は、商品を並びかえることなのかと、意味を取違えてしまうからです。『早くやって下さい。は、『五分以内にやって下さい。』、『今日中にお願い』』は、『終業時間までに』。『あれを持ってきて』は、『○○を持ってきて』のように。このような結果、スタッフ間の行き違いが少なくなるだけでなく、お客様に対しての言葉づかい、心づかいがより具体的になり、気働きが良くなってくるものです。
『中庸」ちゅうよう
中国 四書の一つ
|